Failure is an option, but fear is not.

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REPORT

鈴鹿8時間耐久ロードレース 第41回大会 決勝レポート

7月29日(日) 雨・晴れ/ウェット・ドライ

 

F1  F2


予報通り、台風12号は強い勢力を維持したまま29日午前1時頃に三重県伊勢市付近に上陸。台風の通常の進路からは大きく外れた異例の進路にて、8耐が行われる鈴鹿へやってきた形だ。
レーシングコースには大きな被害はなかった模様だが、サーキット内ではテントが倒壊するなど猛威をもたらした。
 
決勝レースが始まるころには台風は過ぎ去っていたが、影響を受けて大気はかなり不安定。先ほどまで晴れていたかと思ったら、スコールのような雨と風が吹きつける。
そんな目まぐるしい天候に翻弄される中、各チームがグリッドに整列する。
スタートを10分前に控えた辺りから、急に雨が降り出し、各チームスタッフの動きが慌ただしくなった。
チームはスリックタイヤでスタートする予定だったが、直前にレインタイヤに交換しスタートを待つ。
思惑通りスタート間際で雨が強くなり完全なレインコンディションでスタートが切られる事となった。
スタートライダーのアンソニー選手は「The Rain Man」の異名がつくほどレインコンディションを特に得意としている為、チームも期待が膨らむ。
 
午前11時30分 雨と強風の中、恒例のルマン式スタートにより2018年の8耐が幕を開けた!
やはりアンソニー選手はスタートを上手く決め、22位から大幅にジャンプアップを決めた。
1周目のコントロールラインを15位で通過。
2周目では14位、4周目には13位と順調に順位を上げて行く。
その後13位争いを続ける中、先ほどまで強く降っていた雨も止み、サーキットは再び晴れ間が覗き始め、濡れた路面は急激に乾いていった。
周回を重ねるにつれ、ドライコンディションに移り変わる路面に対し、レインタイヤでどこまで走り続ける事が出来るか重要になってきた。
そんな難しいコンディションの中、12周目には11位にポジションを上げる。
トップグループではスリックに交換しようとピットに戻るチームが出始め、レースは大きく動きを見せ始めた。
アンソニー選手は8位まで順位を上げ15周を終えた所で、タイヤ交換を行なう為ピットイン。
タイヤ交換とガソリン給油に加えマシンのセッティングをレインセッティングから、ドライセッティングに戻す為に、やや時間を費やし、ピットワークはトータル1分08秒で、再びアンソニー選手がコースに戻った。コース復帰後の順位は17位となった。
レインコンディションでのタイムが2分23秒台だったのに対し、2分13秒台でラップを重ね始め、更には2分12秒台にタイムを上げ、プッシュしていった。
25周目には16位に順位を上げ、26周目には15位、27周目にタイムを2分11秒8とペースを更に上げた。 28周目に順位を12位に上げ確実に前車とのタイムを縮めていった。
その後もアベレージ2分11秒台のラップタイムで安定してラップを刻む、このタイムは4位争いをしているマシンと変らず、4位から26秒後につけていた。
30周目には11位まで順位を上げたアンソニー選手、残りの与えられた10周を走り切り合計40周を一人で走り切りピットイン。
本来このスティントでは27周する予定だったが、補給警告ランプが作動した為アンソニー選手の判断により26周でピットに戻ってきた。
ガソリン給油とタイヤ交換のピットワークを済ませ、今度は約46秒でコースへ戻した。
このタイムはトップグループと並ぶ好タイムだ。ライダーはアンソニー選手から出口選手に交代。
 
コースインした出口選手もアンソニー選手と遜色ない良いペースで前を追いかける。
44周目にはポジションを9位に上げた。
その後も順調にラップを刻み、更に前車との差を詰めて行く出口選手。
アベレージは12秒台で安定していた。
しかし、このまま順調にレースを運べると思っていた50周目。
セクター3からホームストレートに出口選手が戻って来ない。
次の瞬間、モニターには最終コーナーで転倒している#10エヴァRT初号機 Webike TRICK STARの姿が映し出された・・・
ハイサイドにより大きく転倒してしまい、出口選手は単独では歩けない状況で、そのまま救急車で医務室へ担ぎ込まれた。
無情にも出口選手はドクターからこのまま出走する事は不可能だと告げられてしまった。
出口選手の今年の8耐はここで幕を閉じてしまった。
 
一方、レッカー車両でピットまで戻されたマシンをメカニックがチェックしたところ、転倒の影響で右側のハンドルが折れ曲がり、フレームを突き破ってしまっている事が判明。
フレームを損傷している状態でそのまま競技を続行させる事は危険が伴うため鶴田監督は悩んだ末、レースをそのまま継続する事を断念せざるを得なかった。
 
しかし、このまま諦める訳にはいかない。各スポンサー様、ファンの方々、チームスタッフの期待と夢を背負って走るエヴァRT初号機 Webike TRICK STAR。
どうにかチェッカーを受けようとチームはマシンの修復に取りかかった。
優秀なメカニック達は確実な作業で大破したマシンを懸命に修復する。
 
そして午後7時20分。場内実況にて「エヴァRT初号機 Webike TRICK STAR再起動!!!」との放送が入る!
チェッカーライダーはマチュー選手。
モニターに映し出されたマシンに、サーキット中から大きな拍手が沸き上がる中、チェッカーフラッグを受ける為にコースインしていく。
マチュー選手にとっては、この10分間が2018年鈴鹿8時間耐久ロードレース決勝の最初のスティントであり最後のスティントとなった。
それを噛み締めるように、たくさんの歓声に背中を押されながら、午後7時30分のゴールを迎えた。

 

 

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