エヴァンゲリオン レーシング Super GT & ROADRACE


EVA Racing SUPER GT 2013

RUN'A Entertainment,Inc.

REPORT

第6戦富士スピードウェイ 決勝レポート

9月8日(日) 曇りのち小雨/ドライ・セミウェット

● フリー走行 雨/ウェット

予報通りの未明から降り出した雨は、朝には一旦上がるものの、フリー走行が始まる頃には再び降り出した。路面完全ウェットながら、インターミディ(浅溝)か?レイン(深溝)か?二社択一のコンディションと言った感じ。マシンは少しレイン方向にセッティングを変える程度で、昨日と大きく変更する物ではない。
レインでコースインした加藤選手だが、直ぐにインターミディに交換、53秒台の2番手タイムをマークしたところで赤旗が出たので、これを機会に高橋選手に交代、残り20分程のフリー走行を走り込む。
コースコンディションが良くなった事もあり上位は50〜51秒台となる中、高橋選手も53秒台までタイムアップする。
 サーキットサファリでは先に加藤選手がコースイン、途中高橋選手に交代ピットシミュレーションを行う。マシンのバランスは昨日に続き悪くない。
 決勝レース時刻は晴れ予報、これと言った不安材料も無く、“特に何か?”が起きない限り、堅実にレースを運べばそれなりのリザルトは期待できる・・・はずだ。

● 決勝レース 曇りのち小雨/ドライ・セミウェット

 先のシミュレーションの通り、加藤選手でスタートをむかえる決勝レース。日差しもあるが、雲も有り、雨の可能性もなくも無いが、スタート時点ではとりあえず完全ドライ、定刻午後2時、1周フォーメーションラップからレーススタート。
 1周目前半は、一つ前の30号車(GT-R)との接戦となるが、パワー勝負のヘアピン立ち上がりで離され、続くBコーナー(ダンロップコーナー)までに、追いつかれた86号車(ランボルギーニ)と48号車(GT-R)に左右から抜かれ、オープニングラップは13位へとダウン!更にロングストレート途中で並ばれた87号車(ランボルギーニ)にも1コーナー進入で抜かれ14位と厳しいスタートとなる。
「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」、前戦の第5戦鈴鹿から搭載燃料が増えている。これまでは標準装備の130リッタータンクに、詰め物をして容量を減らし、レギュレーション上の110リッター(JAFGTマシンは100リッター)だったが、搭載燃料タンク容量そのまま使用して良い事となった。これにより、満タンでの走行周回が増え、残り周回分の給油時間を短くする事ができ(逆も可能)作戦の幅が広がる事になる。燃料消費の大きいFIAGTマシンと、燃費の良いJAFGTマシンとの給油時間の差を少なくする為の調整であり、JAFGTマシンは給油ホースも途中で絞られ流速が遅くなっている。この搭載燃料が多くなった事を活かし、満タンスタートの加藤選手で、カラになるまで目一杯引っ張り、残り周回数分だけの給油にしてピットストップの時間を短縮する。
満タンスタートで40周以上のロングランに向けひた走る加藤選手。燃料が軽くなる事と、タイヤが摩耗してくる事が相殺されても、終盤になって大きくラップタイムが落ちる事があるが、加藤選手のタイヤマネージメントは最後までタイムを落とさず、先行車がピットに入った時にタイムを上げ、コース上でのバトルを避け、タイヤへの負担を減らす巧みな走りで、ルーティンピットを終えた時点で順位をあげている。タイムはほぼ42〜43秒台でラップ、不要なバトルを避け順位をキープ・・実際にはトラブル等でピットに入るマシンがあり順位は上がって行き、13周目12位、15周目11位へと上がる。直ぐ前を行く5号車(GT-R)にテールtoノーズとなり、やや蓋をされている感じでタイムが上がらない。GT-Rはトップスピードで勝り、なかなか抜けない。16周目プリウスコーナー手前で、一旦前に出るが、ストレート、コントロールライン過ぎで抜き返される。 このラップを勝負所とした加藤選手、1コーナーで喰らいつき、Aコーナー進入でイン側、縁石をシッカリ使いサイドbyサイドから前に出る。100Rからヘアピンでリードを広げ、パワー勝負となる次のBコーナー(ダンロップコーナー)までのマージンを稼ぐ。これまでと違うアグレッシブなドライビングは功を奏し、ストレートで追いつかれないリードを稼ぎ、逃げ切りに成功、ポイント圏内の10位に浮上し先を急ぐ。
 レース序盤、上位グループは膠着状態が続く。その流れに転機が訪れたのは18周目、ストレート上500クラスの32号車がタイヤバースト!コースサイドのガードレールに衝突して停車。幸いドライバー、道上選手は無事!バーストタイヤがフェンダーを破損させ、破片がストレート上に散乱し、その処理の為SC(セーフティカー)が導入された・・・っが、これがこのレースの明暗を分けた・・・と言うより、我々の場合はレースを失ったと言ってもよい。
 SCが入った場合、数周はスローな先導走行となるので、この時に“予定している”ピット作業を済ませるのが断然有利なのである。スロー走行のSCの隊列から一旦離れ、ピットインし作業を終えて隊列の最後尾に着いても同一周回で復帰する事ができる。勿論各マシン間のリードも無くなってしまい、レースはリセットされる。

ストレート上で一旦クラス別に整列後、SC先導走行で再スタート。この後ピットレーンオープンとなり、両クラス含め20台近いマシンがピットになだれ込む。戦場と化したピット前、だがそこには「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」はいない。ここでピットインし、燃料を満タンにしたとしても、予想される残り周回数(恐らく42周)を走り切れないからである。SCのタイミングが後2〜3周遅ければ、当然ピットインをしている。
22周を終えレース再開、順位は4位に上がっているが、「砂上の楼閣」・・・落ちて行くことは目に見えている・・が、その後もピタリと判で押したように42〜43秒台を刻みつづける加藤選手・・・レースはまだ何が起こるか分からない。20秒後方には“既にピットを済ませた組”のトップ4号車が、41秒台で追い上げて来ている。
 “ピットを済ませていない組”10台がこれらに飲み込まれるのは時間の問題だ・・・ところが25周を過ぎた辺りで、僅かに雨が落ちてきた。
この雨が本降りになり、レインタイヤへの交換が必要になればまだ勝負は判らない。先にピットインを済ませたマシンももう一度ピットインが必要となる。我々は、ルーティンピット時に、一度で済んでしまい、反対に有利となる。
 しかしその雨は、降ったり止んだりを繰り返すものの、レインタイヤにするほどの降りにはならず、タイムも38周目には42″252のベストをマークするほど・・・。
 SC時にピットインしなかったマシンも30周を過ぎた辺りからピットインを始め、40周目には我々は見かけ上トップとなる。そして42周を終え、予定通りピットイン、加藤選手から高橋選手へ交代。タイヤは4本交換、給油は通常のフルチャージに比べ20秒ほど短縮し、コースに復帰した時点で13位。
 後半スティント序盤、45秒台から44秒台・・そして43秒台へと、加藤選手と変わらぬペースで快走する高橋選手。だが後方から30号車(GT-R)が42秒台で追い上げてくる。その差も、47周目プラス6秒、50周目プラス3秒と、毎ラップ約1秒づつ詰められ53周辺りでテールtoノーズとなるが、何とか抑える。しかし55周目、Bコーナー手前ブレーキングで左側から先行を許してしまい14位へと下がるが、以後もモチベーションを落とす事なく43、44秒台の好走を続け、トップから1周遅れの61周、14位でチェッカーを受ける。
このレース、ドライバーもピットワークもミスはなく、レースラップも悪く無い。マシンもノントラブル、タイヤもベストでは無いが良いバランスで走り切る事ができ、今シーズン最高の“無難”なレースができ、充分ポイント圏内に届く要素は有った。
 しかしSCのタイミングが明暗を分けてしまった・・・こればかりは“運”としか言い様がないだろう。だがこのレースで、長いトンネルの出口の明かりが見えてきた・・・そんな充実感を感じるレースだった。
 次回はアジアン・ル・マン富士。SUPER GTのシリーズ戦では無いが、ポイントも付与される。
 この勢いで今シーズン、初ポイント獲得を目指す。 



レポートトップへ戻る