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第3戦 セパン インターナショナル サーキット 決勝レポート

6月10日(日) 晴れ/ドライ

● フリー走行  

決勝日のフリー走行は、これまでと異なりサーキットサファリから始まり、フリー走行、そしてもう一度サファリとなる。サファリの希望者が多く、それに応える形で、サファリバスの(述べ)台数が増え、途中でファンを入れ替える為である。ここマレーシアでもSUPER GT始めモータースポーツの人気の高まりが感じられる。 このサファリ始め、フリー走行の時間は決勝レースシミュレーション。燃料も満タン、ピットでもタイヤ交換、ドライバー交代等、レース想定でピットワーク練習を行う。満タンでのベストタイムは加藤選手により、07″235!と3番手タイム。レースに向けたセッティングも悪くない。
 ところが、高橋選手に交代した直後、1/3周したS字コーナーでマシンの挙動に異変が出てスピン、ストップ。コース上に止まった高橋選手だったが、そのままグリーンまでマシンを誘導し、マシンを降りる。ここでモニターに映しだされたマシンの横に、外れたホイールがある。どうやら右後輪が外れたようだ。幸いマシン、足回りにダメージはないが自走は無理。赤旗中断となりマシンは回収され、戻ってきた。
 確かに足回りを含め、破損は殆ど無かったが、回収時の吊り上げ作業がずさんな為、ルーフ部分にクラックが入ってしまった。走行に影響を及ぼす箇所、規模ではないのだが、こうした回収時による二次被害など、設備のせいかもしれないが、国内戦ではありえないことだ。
幸い決勝レースまでは充分な時間もあり、また今シーズンの過去2戦と異なり(第1戦、2戦共、プラクティス・予選はウェット。決勝ドライ)プラクティス、予選のデーターが決勝レースに活かせるので、レースに向けては万全の準備を整える事ができた。


● 決勝レース 

国内戦と異なりレーススタートは暑さのピークを過ぎた午後4時、気温こそ午前中の32℃前後と変わらないが、路温は午前中や前日の40℃前後から50℃へと大きく上昇。レース終盤に向けて下降する路温に対し、どんな戦略を立てるか?
毎年ドラマの多いセパン戦フォーメーションスタート。フォーメーションが1周から2周へと伸ばされた為、レースは54周から53周に短縮(300クラスは恐らく49周)されスタート。オープニングの1コーナーで3番グリッドスタートの911号車(ポルシェ)がスピン!スタートドライバーの加藤選手、この混乱に乗じて、7番手に順位を上げる。トップはポールスタートの33号車(ポルシェ)2番手88号車(ランボルギーニ)でこの2台だけが9秒台と早い。ついていけない3位以下、87号車(ランボルギーニ)、31号車(プリウス)、52号車(メルセデス)3号車(GT-R)、そして2号車EVA紫電が10秒台でつける。
7周目3号車を抜いて6位に上がる。トップとの差は既に12秒、2位とは7秒差と大きく開いたが、3位とは3秒以内とまだ射程内だ。また3位争を展開するのは4.5秒内に8台のグループの中では加藤選手が僅かに早い。8周目、ペースの落ちた31号車を52号車がパスし、加藤選手もそれに続き5位へ・・・。10周目にはその52号車も抜き4位に上がる。

ここからしばらくは、トップ33号車、続いて88、87号車の2台のランボルギーニに続く4位をキープする小康状態が続く。前の3台はFIAGT3マシンの為、EVA紫電より給油が長い・・・はず。だが既にトップとは18周目で15秒差なので、そのマージン分はリードされてしまったが、2位はまだ範囲内、ピットストップが勝負どころ。そのピットイン、上位陣では19周目に0号車が始まる。
24周目には3位“だった”87号車がピットに入るが、トラブルの為6分近いタイムロスをし脱落。続く25周目には33号車と88号車も相次いでピットイン。EVA紫電加藤選手は見かけ上トップとなる。その後も10秒台とペースを落とさない加藤選手だが、NEWタイヤに交換したグループのペースが9秒台から8秒台へとペースが上がり始める。30周目には88号車が2回目のピットイン、そのままストップ。上位を行くと思われた1台が消える。流れは悪くない。
31周を終え「BOX」のピットインのサインを出す。32周目、高橋選手待つピットに滑りこむ加藤選手。タイヤ交換、ドライバー交代と順調に進む。15秒の給油はFIAGT3より10秒以上は短く、FIAGT3勢には真似はできない。だが、前戦富士優勝の0号車(BMW)はタイヤ無交換作戦をとり、このピットストップ大きく短縮。我々より短い時間でピットアウトしている。その0号車が、2位でピットアウトした高橋選手の背後に付く。10秒台の0号車は、まだあたたまらないNEWタイヤの高橋選手、EVA紫電のアウトラッではパス。高橋選手は3位へ・・・。
35、36周目も12秒台とペースが上がらず、オープニングで大きく順位を落としたあと、ハイペースで追い上げてきた911号車と3号車に抜かれ5位に下がるも、タイムは10秒台へと入りようやく自己のペースへと持ち込む。だが6位には66号車(アストンマーチン)が9秒台で迫り、42周目には先行される。残り周回は7周。
単独6位をキープ、このままゴールと思われたが、最終ラップ49周目、タイヤ無交換作戦を敢行した0号車が、なんとガス欠によりストップ。ラッキーな5位をGET!!
今回のレースは特に奇策はなく、全く地味な戦略であるが、両ドライバー、ピット作業は全てノーミス。こうした戦い方でも、確実に走り切れば今回の様な上位陣の脱落に助けられたとはいえ、確実にポイントを獲得する事はできる。取りこぼしの無いレースを目指し、チャンスが到来したら、いつでも表彰台を狙う位置をキープする。FIAGT3優勢な今シーズンの戦い方はそれしかない。
 3戦終了時点でドライバーランキングはトップから8ポイント差の5位。次回菅生もEVA紫電得意なサーキット。ご期待ください。


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