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REPORT

スロバキアリング8時間耐久ロードレース 決勝レポート

6月24日(土)  

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世界耐久選手権第4戦スロバキア8時間耐久決勝が行われた。
決勝日は30度を超える猛暑となり、当初の予定より30分早い午後13時30分にスタートが切られた。

 

8番グリッドからスタートしたエルワン・ニゴン選手がオープニングラップから果敢に攻め、
1コーナーで3番手にジャンプアップし、トップ争いに加わった。
5コーナーで抜かれ4番手に順位を下げ4番手で通過、2周目に入り、熾烈な順位争いが繰り広げられた。
エルワン選手は3位争いに加わり、5~6番手で周回。
1スティント後半に入っても3位争いは6台の集団で争われ、エルワン選手は無理をせず3番手をいつでも狙える位置をキープしながら走行を続けた。
ピットイン予定は、23周目。

スタッフはライダー交代のための準備を整えてエルワン選手を待つが、エルワン選手はピットインせずに走行を続けた。
エルワン選手は、燃費を考え、予定より1周多く周回出来ると判断し、24周を終えてピットイン。
燃費の良さがポジションアップにつながり、3番手へと浮上した。

 


1回目のピットイン。タイヤ交換とガソリン給油を行った。
ドイツ戦で新たに投入したロケット型の給油タンクは前戦でトラブル発生したが、
今回はしっかり改善されスムーズに給油することが出来た。
このことで給油時間も短縮、ピット作業を確実にこなした。
ピットワークの時間は、ピットロードでの一連のルーティーン作業を終え、ピットを出ていくまでのトータルタイムが常にモニターに表示されるのだが、
トリックスターのピットストップは43秒とこれまでのタイムを大きく上回り、トップチームに引けを取らないレベルに達していた。
スタッフがピットワークの鍛錬を日夜行いスピードアップを達成したことがタイム短縮の原動力となった。


レースはエルワン選手から出口選手へと交代し2スティント目に入った。
エルワン選手の健闘を引き継ぎ、出口選手も果敢に攻めてハイペースで走行を開始した。
2周目のセクター1はチームのベストタイムが刻まれた。
しかし、次の瞬間、『No.10 Crush』の文字がモニターに映し出された!

我々のチームのゼッケンが表示され転倒を意味するアナウンスが流れ、

モニターには出口選手が右腕を抱えマーシャルに支えられながら救急車に運ばれる様子が映し出された。
出口選手はそのままメディカルセンターへ搬送され、肩の脱臼と診断された。
他は特に骨折などのダメージはないことに安堵したが、脱臼による痛みは強く、走行は断念せざる得なかった。
残りの走行はエルワン選手、ジュリアン・ミレット選手の2人に引き継ぐこととなった。

 

マシンは大破しレッカー車で約10分後ピットに戻された。
損傷が激しく、特にフロント周りが大きく破損していた。
フロントサスペンション、カウリング一式、メーター、ライト、リヤスイングアーム、

チェーン交換シートカウル、スロットルボディー、リヤブレーキキャリパー、などを交換。
この修復に約35分間が費やされた。
マシンが戻ってきた時は、修復が不可能ではないかと思わるほど状態であったが、

奇跡的にフレームとエンジンへの影響がなくメカニック達の高い技術力で復帰させることに成功した。

 

約50分間のピットストップから、ジュリアン選手がコースへと復帰。
復帰後のマシンに不具合が無いか心配さたがジュリアン選手のペースは良く、レーシングスピードを取り戻していた。
コースに戻った直後は29番手、トップとの差は21周と大差がついてしまっていた。
しかし、ライダー、クルー、チーム全員誰一人手を抜く事なくゴールを目指した。

 


予定通り3スティント目の25周をジュリアン選手が無事に走り終え、

タイヤ交換、ガソリン給油をしエルワン選手へ交代する為にピットに戻ってきた。
エルワン選手がコースイン。
怪我をして途中欠場する事になった出口選手の分まで必死の追い上げを開始し26番手に浮上。
コースは路面温度50度を超え、なかなか上位陣もペースが上げられない中で、トップと同等のタイム2分7秒台でエルワン選手は追い上げていった。
ピットワークもクルーの頑張りで先ほどの好記録を上回る42秒でライダーをコースへと送り出した。

 


エルワン選手が4スティント目も予定の25周の周回を無事に終えピットに戻った。
待ち構えていたクルーが手際の良いピットワーク作業タイヤ交換、ガソリン給油を行いジュリアン選手に交代させ43秒で送り出した。
ここまでほぼNOミス、NOトラブルで進行していた。
2人で走る為、新たに周回数、ピットインタイミングを組み立て直し、ジュリアンは、54分間と通常よりも短いインターバルでコースイン。

 

 

午後5時を回っても、気温は一向に下がる気配はなく、鈴鹿8時間耐久を思わせる暑さの中をライダーは走り続け、スタッフはライダーを支えた。
ジュリアン選手はペースを少しあげ順調に走行を重ね、23番手へとポジションアップした。
6スティント、7スティントと共に順調に進め、8スティント、エルワン選手の最後の走行となりました。
エルワン選手はコースへ出る前に「イージーな7秒台で走行をする」と鶴田監督に伝えた。
鶴田監督も「そのタイムで充分だ」と言い渡しコースへ送り出した。
その言葉通り序盤は順調にラップを重ねるエルワン選手だったが、中盤には6秒台までタイムアップ。
このタイムはトップを走るライダーと変わらず、2番手走行のライダーよりも速いペースで、エルワン選手の底力を見せつけることとなった。

 


最後のライダー交代を終え、ジュリアン選手がチェッカーライダーを務めた。
ジュリアン選手は21番手へとポジションアップ。
ジュリアン選手は更にペースを上げ7秒台でコンスタントにラップを刻んでいった。
遂には2番手争いをしているゼッケン1番SERTとゼッケン111番エンデュランスホンダに追いつき、そのバトルの中に割って入った!
もしこれが本当の順位であれば確実に表彰台は狙える位置で走れていることの証でもあり、ジュリアン選手は存在感を示し周回を重ねた。
その堂々としたライディングは、ゼッケン1番SERT とゼッケン111番エンデュランスホンダの2台が最後のピットインをするまで続いた。
そして、想定タイムよりペースが速かったことで、残り5分で油をしなければならなくなり、想定外のピットインとなった。
ジュリアン選手は最後の走行を無事に終えチェッカーを受けた。


現地時間午後21時30分過ぎにゴールを迎え、結果は20位となった。

 

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