REPORT
第5戦鈴鹿サーキット 決勝レポート
8月18日(日) 晴れ/ドライ

● フリー走行 晴れ/ドライ
昨日の予選は不発・・・というより「火薬」が入っていない空砲ではないかと思える低迷振り。 加藤選手をもってしても、クラス中盤にも食い込めず20番グリッド。これまでもマシンのトラブルや、明らかなミス等で下位グリッドに沈んだ事は多々あるが、その原因がハッキリしており、解決策もあれば、先のレースに期待ができる。今シーズンもテストを含めた序盤のマシントラブルもあったが、アップデートパーツが功を奏し第3戦セパンからそうしたトラブルもなりを潜め、いよいよ反撃に打って出られると思っていた。 だが、今回・・・前戦SUGOでも・・は、トラブルは出ないが、マシンが思うように走ってくれず、特に一発の速さが全くない。せめてもの救いは、レースラップはそれなりに走ってくれそうな事・・・。 しかし、このまま手をこまねいて決勝レースに臨む訳にはいかない。朝のフリー走行、セッション開始直前、東コース1、2コーナ付近がやや黒い雲に覆われ、少し雨がパラついたが、全く走行に影響を与えるほどではなかった。 決勝スタートを担当する高橋選手が8周、続いてカルロ選手がフリー走行セッションをこなし、それぞれ2′09″350と、05″882。カルロ選手のタイムで、順位こそ予選と同じ20番手だが、中上位とのタイム差は予選時の約2秒から約1秒へと縮まり、決勝想定の満タン走行でのバランス悪くなさそうだ。 サーキットサファリは加藤選手が出走、サファリセッションでも、バスが全車退去すればフリー走行となる。ここで、これまでと異なるタイヤの組み合わせを行い、05″494・・8番手タイムで、加藤選手の評価も良い。これを決勝レースタイヤにするが、スタート時は予選使用タイヤを使用しなくてはならないので使えない。
● 決勝レース 晴れ/ドライ
1000km、約6時間の長丁場は、ドライバー交代を伴う4回のピットイン義務付けられており5スティントに区切られ、これは燃料消費の多いFIAGTマシンでも、常に満タン給油を行えば走りきる事は可能である。 果敢に攻める走りはできないが、“トラブル・ミス・アクシンデント”という、モータースポーツ、負の3大要素を排除し、着実に走り切ればこの1000km、いい結果が残せるだろう。 雨の心配もほぼ消えた(ウェットタイヤの準備もしていない)12時30分、決勝スタート。スタート担当の高橋選手、1コーナーで87、86号車の2台のランボルギーニに抜かれるが、集団に食らいついていく。パワー勝負の裏ストレートの中間で、5号車GT-Rにパスされオープニングラップは最下位となるが、その後ほぼ毎周回自己ベストを更新しつつ着実に周回を重ね、15周辺りを過ぎ、前を行く5号車のタイムが落ち始めると、高橋選手のタイムが上回り、徐々にその差を詰めていく。 フルタンクが空になるのは30周当り、最高気温時の約1時間の走行はかなり過酷である。20周を過ぎた辺りからルーティンピットが始まり、見かけの順位が上がって行く中、予定より1周早い29周目、燃料の残量アラームが点灯、高橋選手からカルロ・ヴァン・ダム選手に交代。タイヤ4本交換と約50秒に及ぶ燃料給油で、無難に送り出し21位。トップグループからは既に1周遅れとなったが、カルロ選手はここで初めて試すタイヤセットに戸惑いながらも、上位グループと遜色ない07〜08秒台で周回、徐々に順位を上げていく。 火災が発生するマシンもあり、夏の鈴鹿が牙を剥き始める。マシンに慣れてきたカルロ選手、周回を重ねる毎にベストタイムを更新、57周目には17位にまでポジションを上げる。 レースも3分の1を消化した59周目(トップから2周遅れ)裏ストレートでタイヤバーストし、フェンダーの破片をまき散らした86号車ランボルギーニから火災発生。130Rにイン側にマシンを止め、オフィシャルが消火活動を行う。 2回目のピットインを準備していた我々は、セーフティーカー(以下:SC)が入ると判断、予定より2周ほど早いがカルロ選手に緊急ピットインを指示。“タイミング”によっては、前車とのギャップを詰める事ができる・・・はず。 同様の目論見で、続々とマシンがピットに入って来た為、通常の位置止められず、いわゆる斜め止め。タイヤはリヤのみ2本交換で加藤選手に交代。マシンをメカ5名(ルール上の人数)の手で押し戻しコースに送り出す。このままSCの後ろの隊列につきレースの再スタートを待つ。 裏ストレートのイン側は飛び散った破片の清掃、オイル処理が行われている。ピットインのタイミングにより、ピット出口の赤信号で止められたマシンもあるなか、加藤選手はSCに着き6周回をこなし隊列が整った段階で順位は13位へと上がっていた。 66周を終え、レース再開・・・全てが上手くいったと思われた。07秒台から06秒台へと順調にペースを上げた加藤選手、71周目の第3セクター裏ストレートに入ったと思われた頃「タイヤがおかしい!」と連絡が入る。 ちょうどモニターTVに映しだされた2号車「エヴァRT初号機アップルMP4-12C」の右前ホイールは、時折タイヤの回転が止まっている。タイヤのエアが抜けた状態である。幸いタイヤがバラバラになる事は無くピットに戻る事はでき、フロントタイヤ2本を交換、目視でも他へのダメージはなさそうなので、直ぐに再スタートさせる事ができた。スプーンカーブまで全く問題なく走ってきて、突然エアが抜けたのは、裏ストレートで何らかパーツの破片を踏んだものと思われる。 GTマシンの外装パーツはカーボン製で、その破片はタイヤを切ってしまうほど鋭利な状態になっている場合もあり、可能な限りドライバーは避けて走行しているのであるが、これによるタイヤトラブルは少なくない。速度が低い段階で遭遇したのは不幸中の幸いである。 この遅れを取り戻すべく、その後のラップタイムも06〜07秒台へとペースを上げる加藤選手だったが・・・ ところが、それと前後してピットにはオフィシャルからペナルティが告げられていた。先のSC導入時の、ピットインが規則違反という事で、90秒のペナルティストップが課せられたのである。SCボードが表示されてからのピットインはできないのだが、その部分に抵触してしまったようだ。少しのタイミングのズレがミスとなってしまった。同様のペナルティは8台のマシンに課せられる事となったが、ペナルティストップエリアが1箇所の為、順次ペナルティが表示される異例の光景となった。 76周目にピットロード抜けペナルティストップエリアに向かう加藤選手。ここで心配されるのは90秒のエンジンストップ。 レーシングマシンは、走行しつづける事を前提とする為、走行後長時間のエンジンストップは、冷却水がラジエターに回らなくなる為、水温が上昇しその後オーバーヒート状態になる場合がある。またはエンジンルーム内の燃料も温度が上昇し、フィーエルライン内で燃料が気化しエンジンがかからなくなる、パーコーレーションの恐れもある。レーシングスピードで走行した直後の、エンジン周辺の高熱が周辺補機類に及ぼす影響も懸念される。 長い90秒が経過、はるか先のピットロードエンドの2号車は無事再始動し、加藤選手が猛然と1コーナーに向かう。既にトップグループからは4周遅れの19位・・・上位との勝負権は消えたが、ポイント圏内へは届かない位置では無い。また我々にとっては、この実戦の場で、より多くの周回を重ねるのは非常に重要な事であり、なんといっても炎天下の中、グランドスタンドで応援旗を振り続けるファンがいる事を忘れるわけにはいかない! その後は、“アクシデント”も”ミス”も無く、06〜07秒台と上位グループを上回る(トップ61号車SUBARUの05〜06秒台は別格)タイムで周回する加藤選手だったが、「リヤタイヤがきつい!!」との連絡が入る。その為、次のカルロ選手のスティントでは安全策としてリヤタイヤにハードタイヤを準備するが、そのカルロ選手が「加藤選手がソフトで(この周回でも)タイムが落ちないのだったら、ハードではなく同様のソフトで行きたい。」とリクエストがある。安全策ではなく、攻めるカルロ選手の希望通りソフトタイヤに切り替える。


